Column 7 中野のおみせ
ギャラリーカフェ C.Q(シーキュー)
酒は酒でも、甘酒を飲みすぎたからといってベロベロに酔っ払った人を見たことが無い。酒に“甘”という言葉が付いただけなのに、アルコールがゼロに近い飲み物になってしまうから酔わないのは当然だ。
そういった意味では、タバコと水タバコの名前も似ている。
二つともタバコという名が付いているだけに、あの嫌な匂いを想像してしまいそうだが、実は水タバコの煙は想像しているようなタバコの煙ではないのだ。水タバコの香りは、例えるならアロマオイルに近い感じがする不思議な煙。
そもそも水タバコとは何だろうか。
禁煙ブームから登場した電子タバコみたいに、水蒸気が発生する物なのだろうか。よく分からないので、中野五叉路近くにあるギャラリーカフェ”C.Q(シーキュー)”に伺って聞いてみた。
C.Qスタッフの宮田さんは、お団子ヘアスタイルで吉祥地を歩いていそうな雰囲気の女性。親しみやすい笑顔に甘え、色々と質問させてもらったが丁寧に答えてくれた。
水タバコの特徴は、タバコ葉とフィルターなのだと言う。
水タバコの葉はフレーバーとも呼ばれ、葉に香りが付け加えられている。感触は湿った落葉に似ており、自販機で売られているタバコとは随分と違った手触りだ。
そして、水タバコのフィルターは名前の通り水。ウォーターなのだ。
実は、タバコの煙に含まれている有害物質の多くは水に溶けやすい。水をフィルターとして使えば、嫌な匂いやタール等の化学物質が水に吸い取られて、水蒸気の様な煙と葉っぱに添加された香りだけが残るという仕組みだ。香りの種類はミントやハチミツ、中にはレッドブルというのもあるから面白い。
水タバコの装置は、1リットル程の水が入った容器にホースやポンプを繋げて煙を導いていくのだが、その風景は理科実験の様で、時間を掛けて一服の準備をする。
しかし、ゆったりと流れる時間こそが水タバコにとっては大切。香りだけではなく、心の余裕を味わう事が大事なのだそう。確かに、のんびりとした日常が感じられる中東やアジアへ行くと、人々が路上で仲間達と世間話をしながら水タバコを回し吸いしている光景を目にする。どんな世間話をしているかは分からないが、1回分で1時間は吸い続けられるというから、おそらく今日の煙の味と香りについて語っているのだろう。
中東の話をすると怪しいイメージが浮かんできそうだが、C.Qのスタッフさんは、話題の森ガールみたいな女性ばかりで近寄りやすい。そして店内スペースの一部は、アーティストのギャラリーとして提供しているので、コーヒーを飲み、一服の香りを楽しみ、作品を眺めて世間話をするという良い休日を過ごす事ができる環境がある。
中野区の路上は、せっかちに歩きタバコをする人が多い。どうせなら、街の灰皿スペースを撤去して水タバコスポットに変えて欲しいものだ。もしそうなれば、ご近所さんや仲間達と水タバコを味わう人も多くなり、立ち止まって深呼吸ができるマナーの良い大人が増えるはずだから。
※当文章は、水タバコが人体にとって無害であると説明している訳ではありません。通常のタバコ同様に、吸い過ぎには注意して下さい。
■ ギャラリーカフェC.Q
http://c-q.jimdo.com/
住所:中野区中央5-48-5 シャンボール中野106号室
TEL:070-5551-0477
問い合わせ先:kyoujin@livedoor.com (担当:宮田)