Column 10 中野でおけいこ
中野書写書道教室
家に帰ってポストを開けてみると、自分宛に真っ白い封筒が届いていた。
差出人として書かれていたのは、高校時代の親友の名前だった。
久々に見る名前に懐かしさを感じながら封を開けてみると、そこには結婚式の案内状が入っていた。今から何年前が18歳だったんだろうと考えて引き算をすると、僕等も少しずつ大人になっているのだと実感してしまう。
一緒に悪ふざけをした頃の記憶しか残っていないから、アイツがどんな大人になっているのか想像ができなかったけれど、久しぶりにアイツに逢える事を考えると、何だか嬉しくなってしまい機嫌が良くなってしまった。
アイロンの香りが残るスーツに袖を通して真っ白いネクタイを結び、買ったばかりのデジタルカメラで窓の外を試し撮りをする。それから、ささやかな気持ちをご祝儀袋に入れてから、自分の名前と祝福のメッセージを筆ペンで書く。
一息ついて筆を置き、自分の書いた文字を眺めてみる。
「・・・私の字・・・相変わらず汚ないなぁ・・・」
特に筆で書いた文字というのは、そのバランスの悪さが5割増しで目立ってしまうもの。
綺麗な文字を書くことが苦手な人にとっては、少しだけテンションが下がってしまう瞬間だ。しかしながらこんな時でも、二通りの逃げ道が用意されている。
一つは、文字が汚くても祝福の気持ちが伝わるはず!と言い訳をして開き直る方法。
もう一つは「おばーちゃーん。ちょっと来てー!これ書いてー!」と頼む方法だ。綺麗な文字を書く事が苦手な方なら、似たような経験をした事があるのではないかと思う。
「文字が綺麗に書けたらなぁ・・・」
そんな願いを持っている人、実は結構多いのでは?
書道教室は小学生が通うものだとか、長年つき合ってきた悪筆を直せるわけないというイメージは、実は噂話なのです。
何歳になっても練習方法を間違えなければ、字は必ず上手くなると先生が言ってました。
先生、教えて下さい!
今回の先生は、中野書写書道教室の佐藤貴子先生。
声も見た目もキュートな先生でした。
「最初の練習は、お手本を真似してみることです。教室で使うテキストは上手に真似できるように作られているので、練習をした分だけ上手になれますよ。書写書道を通して、日本の伝統と本物の心も一緒に伝えたいです。」
上手に書けるまで何度も同じ字を書く行為は、忍耐力・やりぬく力・継続力の習得にも繋がっているようだ。その為、教室に通っている小学生の中には学校の先生から信頼されている子が多いのだとか。
また、教室の中には大学入試を書道で受験して合格したという生徒もいるそう。近年多くなってきたAO入試(アドミッションズ・オフィス入試)で、自分の忍耐力や継続力を表現するにはピッタリの習い事なのだ。
「教室には5歳から70歳の生徒さんがいます。社会人の方も仕事帰りや土曜に習いに来てくれていますね。この教室では書写検という委員会の事務局でもあるので、検定試験や書道大会の開催といった情報も伝えられます。大会に参加するのも上達の秘訣だと思いますので、体験入学だけでも見に来て下さい!」
今では、様々な種類・形の文字がパソコンで打てるようになった為、パソコンの文字が機械的だとは言えなくなってきた。しかしながら、ご祝儀やご霊前、手紙や年賀状などをパソコンで書いてしまうと味気なくも思えてしまう。
先生に無理を言って、こんな文字を書いてもらいました!(写真)
やはり、手書きで書かれた手紙ほど気持ちが伝わるものはない。
そういえば高校生の頃、汚い文字で書いたラブレターを先輩の下駄箱に入れた事がある。
「気持ちは伝わったよ。ありがとう」・・・と言われてフラれたのは、18歳の夏休みだったんだと思い出してしまった。
もしもあの時、佐藤先生に代筆してもらったら先輩と付き合えてたんじゃないかと、訳の分からないことを考えてしまった。
もしもこれからラブレターを贈る予定のある方は、10年後になって後悔しない為にも、今から美しい文字を書く練習をしてみてはどうでしょうか。
※講義時間、月謝等の詳細情報は、直接お問い合わせいただくかHPを参照ください。
中野書写書道教室(日本書写能力検定委員会)
http://www.shoshaken.org/04_nakano/0402_toku_jyukoryo.html
住所:東京都中野区中野2-13-25 第一岡ビル201
電話:03-6304-8212